
世の中にはいろんな質問がある。
それはもう沢山、際限なく質問がある。
そしてチャンタブリーには大きなショッピングモールがひとつだけある。
拠点の宿の近くのこのショッピングモールは日本のショッピングモールとほぼ変わらない。とはいえ、見慣れないご飯屋さんがあったりパタヤのリゾートマンションのセールコーナーがデカデカとあったりと、いい具合のちょっと違う感もあってふらりと時間を潰すのもいい、エアコンが効いてて涼しいしね。
何故か夕飯にパスタが食べたくなったのでイタリアンの店を探しに来たんだけど、入りたいと思える店がなくて結局ウロウロする。
ひとまず、安心のクーポン食堂を探してみるけど見当たらず。上の階にあるかしら?と2階に行ったらそれはもうエラい騒ぎである。
エスカレーターを上がった眼の前にミニ四駆コースがじゃ~んと現れた。規模は今まで見たなかで一番デカい。たぶん世界最大級、しらんけど。
学校の教室いっぱいいっぱいにコース作りました。位のデカさ。
その中をギャンギャンとミニ四駆が走っているのだが、もはや速すぎてなにが何やらわからない。速度域が違うのだ、速すぎるマシンはそのフォルムを肉眼でとらえることが素人にはできない、なんならマシンが走る振動でコースが揺れているのだけを見ているようなもんである。
子供たちも大喜びであそん…ん?子供たちがいない。30代後半から40代だろうか?いわゆる、大きなオトモダチがキャッキャとミニ四駆を弄っては走らせニヤニヤしては弄り。
いい年した小太りで脂テカテカのタイ人がワイワイムシムシと楽しそうである。彼らのマシンの各バーツの色合いが揃っているところから、こだわってパーツを厳選しているのが分かる。
こんだけ早いともう色なんて何でもいいような気もするが…。大人の財力は洋の東西を問わず恐ろしいものである。
チャンタブリー。
ここは東洋ど真ん中だけど。
おそらく憧れのチタン合金の何かもふんだんにあしらっているのだろう。わかる、わかるぞこういうのは大人になってからのほうが面白い。
なぜなら小遣いのケタがふたつほど上げられるうえ積み重ねた知識と教養でアプローチする角度も増えるからだ。
子供の頃よりも少なくなったのは時間くらいのものだがそれすらも彼らは金で買える。
だから楽しいのだ。
子供の頃のこのパーツさえあれば…。という無念を重課金というチートを使ってはらし、今ここでキャッキャいって音速のマシンを走らせている。
だいたいチートというのは使われたらたまったもんじゃないが、使う側からすると超オモシロい。
こういう事になっちゃった遊びには子どもたちは大人気など全く持ち合わせていないオオキナオトモダチにごっそりとカモられるので寄り付かなくなる。
実際は反骨精神の塊のような子供も居ることは居るがごく少数だしカモる大人達のほうが楽しそうだ、遠目に見ても汚いとわかるTAMIYAのTシャツを洗濯するヒマもない位に没頭しているのだろう。
やれやれと、コース横の机が並んだミニ四駆整備コーナーを脇目に見ながら奥にいくと中学生から高校生位の子供達が鏡の壁を前にブレイクダンスを踊っていた。
本格的で頭を下にクルクル回るやつをしている女の子や足の動きと全然違う方向に動くマイケルジャクソンも真っ青なテクニックを披露している少年も居た。
チャンタブリーという辺鄙な場所ってことを考えれば彼らは凄い子達なのではないたろうか?メッチャ練習したんだろうなあ…。
頑張ってんなあ…。
サラっとした汗かいてんなあ…。

しかしブレイクダンスなのに音楽の音量は小さすぎる位小さく、隣で音速のマシンがコースの壁を削る音とめちゃくちゃ楽しそうな脂ぎった小太りタイ人の大声にかき消されるのだ。
課金チートのオッサンと努力の若者たちのコントラストはなんていうか、革命って知らない間にもおきてるんだなあってなんとなく思った。
僕もヒマなのでしばらく両サイドを交互にながめて金を預けるならどっちチームにしようか?
などと妄想してみたが昨夜にひとりが淋しすぎて考えたパレスチナとイスラエルのことのように答えが見つからない。
まあ、子どもがカモられていることはさておき、皆さんそれぞれ楽しそうでナニよりだ。
ちょっと飽きてきたのでこのフロアの人全員にかたっぱしからあなたの夢は何ですか?と聞いてみたくなったがここはタイだからやめておく。
それに聞いちゃイケナイ質問だってあるじゃないか。僕は平和が一番だなと何故かホクホクしてショッピングモールを後にした。
やっぱり何でも本気でやらないとなあ。
と、東洋のど真ん中でひとり思うのだった。
あ、友人のミニ四駆愛好家であるU君が
「狂牛病の牛な、初めて見た時は牛のブレイクダンスやと思ったわ」
と言ってた事を思い出した。
なぜかニヤニヤしながら宿につく。

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